女嫌いな年下のおとこのこ
用意してくれていたのは赤によく合う定番のビーフシチューとラム肉のハーブソテー、あとは数種類のチーズやドライフルーツ。
ガーリックトーストもあり今日も今日とて彼の腕前が光っている。
どれも本当に美味でそれら全てに舌鼓を打ち、ある程度緊張がほぐれてきたところで話題を切り出す事にした。
「瑞希くん、昨日の話なんだけど」
聖から切り出すのを待っていたのだろう、途中からペースの落ちた赤ワインのグラスを見つめながら話しかけた。
「…私、半年経ったら今の人諦めようと思うんだ」
瑞希の目が見開き、静かに尋ねられる。
「なんで半年なんだよ」
「うん。私ね、海外に転勤する事になったの」
「……は?」
シン、と部屋に静寂が落ちる。
「年度開けたらフランスに行くんだ。新しく支社が建つから、そのスタートメンバーで行ってほしいって」
「……」
「あっちに行ったらもう会えなくなるし、いっそ忘れようかなって」