女嫌いな年下のおとこのこ
「…なんでそんな平然としてんだよ」
しばらく見つめていると、地を這うような声が瑞希から発せられた。
「平然とって、どういうこと?」
「っ!ほんっとお前は俺の神経逆撫でるのが上手いよなァ!」
ダンッとテーブルを叩かれ思わずビクリと身体が跳ねた。
「ちょっとは悩んだりしねえのかよ!フランスだぞ?簡単に戻って来れる距離じゃねえだろが!」
「もちろん悩んだよ、けど仕事だし…」
「ンな事分かっとるわ!けどお前は!俺から離れて平気なのかよ!」
…平気?
そんな訳ないじゃない。
許されるならずっと瑞希の側に居たい。
けれどこれ以上一緒に居たらそれ以上を望んでしまいそうで怖いのだ。
いつか瑞希の口から恋人の存在を告げられた時、どれほど胸が痛み自分を保っていられるか分からなくなりそうだから。
だから離れる事を決めたのだ。