女嫌いな年下のおとこのこ
「落ち着いてよ瑞希くん。どうしてそんなに怒るの?」
「お前が簡単に俺を切り捨てるからだろうが!」
「?訳が分からないよ。だって瑞希くんにはーー」
好きな人が、いるんでしょう?
その言葉は出なかった。
瑞希の瞳から、涙が流れていたから。
思わず立ち上がり瑞希の前に膝をつく。
あまりに弱々しい瑞希の手をそっと掬えば拒むことなくそれを受け入れていた。
その姿を見ていて思う。
瑞希にとって聖は拠り所なのだ。
弱い部分を知る唯一の存在で、いつも気を張って強がる彼が心を休められる場所。
確かにそれが自分を無碍に扱うと思えば、取り乱すのも仕方のない事かもしれない。
けれど、もう聖は昔のままではいられなくなってしまったのだ。
これまでのように、見返りなくありのままの瑞希を受け入れてあげることが出来なくなってしまった。
瑞希の心を欲してしまった。
彼を裏切ってしまった。
だからもう、一緒には居られない。