女嫌いな年下のおとこのこ
一歩も譲る気は無いと瑞希の目が訴えている。
「こいつって…だって、仕事かもしれないし…」
「…俺は」
そう言うと瑞希はゆっくりと近づき抱き締めてきた。
「お前に、側に居て欲しい」
「…っ」
それは1番欲しくて、1番欲しくない言葉だった。
側にいるの意味が聖と瑞希のそれとは大きく違う。
瑞希はただの幼馴染の姉として、女ではない自分を求めている。
けれど聖は違う。
瑞希を恋人として求めてしまうのだ。
その言葉を聞いた瞬間、涙腺が壊れたように涙が次々にこぼれ落ちてしまった。
ーー好き。瑞希くんが大好き。
ずっとこうしてもらう事を望んでいたはずなのに、あまりに辛かった。
鳴り続けていた着信音が切れた時、聖はそっと瑞希の胸を押した。
「ごめんなさい」