女嫌いない年下のおとこのこ
瑞希が人並み外れて顔が良い事もあるが、そこそこのイケメン程のレベルなら不釣り合いなくらい相手が霞んでしまうだろう。
全くもって瑞希の好みがわからない。
聖に言われ、性格ねぇ…と瑞希は少し考える素振りを見せ、それから体をテーブルに預けつつ聖の方に顔だけ向けて言う。
「強いて言えば、年上でお人好しな奴」
瑞希の台詞を聞いて、聖は少し固まる。
そして少しの間の後、ゆっくりと口を開いた。
「それは…そんな人、沢山いるんじゃ」
「だから言ったろーが。顔の好みが大事だって」
結局ふり出しに戻ってしまい、今の時間はなんだったのかと項垂れる。けれどまあ、確かにその条件なら一ノ瀬が相手なのも納得した。
一ノ瀬という男が底抜けにいい人間であることは、5年間同僚として接してきてよく分かっているから。
「で、お前こそどうなんだよ」
「えー、私に話いく?」
どうせ独り身なの知ってるでしょ、と言えばフンと鼻で笑われた。
「でも、そうだなぁ…もし私と付き合ってくれる人がいるなら、料理が上手い人がいいかな」
好みの話をしていた事もあってか、ふと思いついた理想を話してみる。
「はあ?」
「恥ずかしながら、これまでずっと仕事ばっかりで料理が全然出来なくてねえ。…あ、そう言ってたら料理きた」
話しているうちに運ばれてきた料理に舌鼓をうつ。
時間がないのもそうだが、たまに作ってみてもなぜか自分が作った料理は美味しいと感じないのだ。
そうしているうちにどんどん疎かになって、悪循環になってしまった。