女嫌いな年下のおとこのこ
「ルームシェアしていたのも俺ずっと女性だと思ってたんですけど、男性だったんですね」
「うん…まあ、色々あってね」
「幼馴染で親とも面識があって…勝てる要素が無くてつい焦って子供じみた真似をしました。申し訳ありません」
「勝てる要素って、私達そんなのじゃないから」
「え?」
初めて飛鳥の顔が上がり、初めて見るような丸い目でこちらを見ていた。
それに苦笑いを返しながら聖は言う。
「言ったでしょう?私は彼にとって恋愛対象じゃないの。だから本当にただの幼馴染で、姉と弟。嫉妬される関係じゃないんだよ」
「……」
その関係すらももう無いけれど。
そう思うと流しきったはずの涙がまた込み上げてきそうになった。
「…どう見てもあれは牽制だろ」
「え?」
呟くように吐かれた飛鳥の言葉は小さくて聞き取れず、聞き返したが何でもないとスルーされてしまった。