女嫌いな年下のおとこのこ
はやる気持ちを抑えてタクシーがその場所に到着するのを待ち、釣りは不要だと降りるや否やマンションに向かって駆け出した。
焦りで何度も押し間違えた部屋番号を再度押し、最後に深呼吸をして呼び出しボタンを押した。
応えてくれるだろうか。
不安と焦燥でドキドキと鳴る胸を押さえて待つ事数分、冷たい声で「なんだよ」と素っ気ない返事が返ってきた。
「突然ごめんなさい、瑞希くん。…どうしても、話がしたいの」
今更と思われても仕方がない。
返事は返ってこず、お願いと懇願するように告げればエントランスが解除され、無言で通話が切れた。
安堵と喜びが混ざり合い、瑞希の部屋の前に着く頃にはそこに不安と恐怖が加わる。
瑞希の中ではもう必要のない人間になっているかもしれない。
何を今更と、突き放されるかもしれない。
それでも謝らなければ。
そして叶うならば、自分の想いも伝えたい。
意を決してインターホンを押せば、直ぐにドアは開いた。