女嫌いない年下のおとこのこ


「あ、もちろん、お休みの日には私も作るよ!上手な人に教えてもらいながら一緒に料理したら楽しそうじゃない?」
「お前…三十路でそれ言ってて恥ずかしくねえのか」
「恋愛偏差値低いのは認めるよ…」


実際高校の時に彼氏が居たのが最後だったので、経験豊富であろう瑞希から見たらドン引きされるような思考回路でも仕方ない。


「久しぶりに鳥肌立ったわ」
「そこまで!?酷くない?」


これでも真剣なのにとぶつぶつ文句を垂れながらお手洗いのため立ち上がる。
恥ずかしい事を口にするくらいには酔っている自覚もあるので、酔い覚ましのためでもあった。

未だ珍妙な生物を見るような目をしているだろう幼馴染にヒラヒラと手を振って、聖はお手洗いに入った。


それから用を済ませ、手を洗っているときにふと鏡を見るとメイクが少し崩れている事に気付く。

25歳が肌の曲がり角という話は本当で、手入れを疎かにしても化粧崩れなど知らなかったはずなのに、最近は気を抜くとすぐに肌に出る。

日々年齢に負けていく事実に少し落ち込みながら持っていたポーチを開き軽く崩れたところを治して席に戻ろうと足を進めると、自分が座っていた席と反対側に女性がいるのが見えた。

ノースリーブのワンピースを着ていて、肩から伸びる腕は白く細く、亜麻色の髪が綺麗に巻かれた若い女性は、瑞希の顔を覗き込むように話しかけている。

一目で逆ナンだと気付いた。顔立ちもなんとも可愛らしく、おそらく20代前半。自分の美貌に一番自信を持っている年齢だ。




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