女嫌いな年下のおとこのこ
そう言いながら聖は抱きついてきた。
恐らく転勤の事を言っているのだろう。
瑞希とてそれを考えなかった訳ではない。
こうして恋人になっても、数ヶ月先には彼女は簡単には会えない距離に行ってしまう。
そう思うと胸が痛むのは瑞希だって同じだった。
「…ならさっさと帰ってこい」
聖を更に抱き寄せながら、瑞希は静かに言った。
「3年は待ってやる。それ以上は浮気と見做す」
「…どうして3年?」
「2年は帰れねえんだろ、あとはオマケだ。つーかあの男が一緒なのは許してねえからな」
「…飛鳥くんとは何も無いよ」
「どうだか。あの時俺を置いてあいつを優先したくせに」
「無視したよ」
「は?」
相変わらず胸に顔を埋めているので顔は見えないが、声色からどんな表情をしているかは想像がついた。