女嫌いな年下のおとこのこ
「荷物はもう届いた?」
「届いたからお前の部屋に突っ込んどいた。なんだあの量は。多過ぎんだろ」
「お土産とか色々あるんだよー」
相変わらず何を言っても響かない。
というより今に限っては喜びの方が優っているのだろう。
この春から聖は正式に帰国して本社の配属となる。
以前に居た部署に昇進して戻るそうだ。
そしてこれを機に瑞希と聖は同棲を開始することにした。
瑞希がリモートワークがメインなので都内から少し離れた場所にある2LDKを新居として構え、先んじて瑞希が入居している。
幸せいっぱいなのは瑞希も同じだ。
が、今現在一つだけその機嫌を悪くする要因が目の前にいた。
「白河さん、じゃあ俺はこのまま社に行って報告してきます」
「うん、お願いね」
聖がひらひらと手を振り、その男は軽く頭を下げて去っていった。