女嫌いな年下のおとこのこ
今後も仕事を通じては連絡を取り合うだろうが、自分の目の届く範囲に戻ってきたのだ。
余所見をする隙など欠片も与えるつもりは無い。
聖は始終ご機嫌に向こうでの生活を語る。
軽い気持ちで入ったカフェで頼んだアフタヌーンティーのプレートが想像以上の量で完食にひどく苦労したこと、現地の同僚が日本アニメの大ファンで日本語を学びたいのだと延々と付き合わされたこと、バカンス大国の名前の通り急に1ヶ月のバカンスを申請されそれに慣れるのに苦労した事。
改めて聞く話もあったが、にこにこと話す聖の表情を見ているだけで幸せだった。
これが今日からはずっと続くのだと思うと、この3年の苦労が報われる気がした。
「聖、」
「なに?瑞希くん」
1杯目の白飯を食べ終わり、おかわりを注ぎに行こうとする聖を引き留めて話しかけた。