女嫌いな年下のおとこのこ
「ありがとう…瑞希くん」
震えた声に顔を上げれば、案の定聖は涙を流していた。
けれどその表情はとても幸せそうな笑顔だった。
「私も、旦那さんになる人は瑞希くんがいい」
そう言い、聖は目の前にあった小箱を宝物に触れるように手に取りそっと開いた。
彼女の細い指に似合う、華美過ぎない洗練されたデザインを選んだつもりだ。
本当にらしくない。
サプライズなんて柄にも無いことをして居心地の悪さしか無かったが、彼女の反応一つで舞い上がってしまう自分もいい加減どうかしている。
「貰ってもいいかな?」
「たりめーだ。お前だけの物なんだから」
「…ねえ瑞希くん。お願いがあるの」
「なんだよ」
「これ、瑞希くんがはめてくれないかな」