女嫌いな年下のおとこのこ
そして翌朝。
オフにするのを忘れていた目覚ましで聖はいつもの時間に目を覚ました。
寝起きが悪く起き上がってから数分は脳が働かないので動けず、今日もいつもと同じようにぼーっとしていた。
けれど鼻をくすぐる良い匂いと何かを焼く音にふっと意識が覚醒し、床に放っていた上着を羽織って部屋を出て音のするキッチンへ向かった。
「瑞希くん?何してるの?」
「朝食。見ればわかんだろ」
家にまともな材料なんて無かったはずと思ったが、床にある近くのスーパーの袋を見てわざわざ朝早くから買いに行ったのだと理解した。
「お前、冷蔵庫の中ゼリーだけとかふざけてんのか。マジで何食って生活してんだよ」
「え、あ、いや…」
「とにかくその寝癖治してこい」
シッシッと手で払われキッチンを追い出され、聖は言われるがままに洗面所で身支度を整えた。
その後リビングに戻ればベッドにしていたソファもきちんと直され、テーブルの上には完璧な朝食が並べられていた。
BLTサンドにスープ、それからスムージーと手の込んだメニューに食卓がキラキラと輝きを放っていた。
思わずその眩しさに目を手で覆ってしまうほどに。