女嫌いな年下のおとこのこ
ひとしきり文句を言い手を離すと、瑞希は聖の前で仁王立ちする。
「丁度良いわ。ストーカー野郎の件が落ち着くまでの1ヶ月、ここに住まわせろ。その間お前のバカになった食生活を矯正する」
へ?と額に手を当てながら見上げると、瑞希は外出するのか上着を羽織っていた。
「帰るの?」
「人の話聞いてんのかお前。買い物行くんだよ。食材どころかキッチン用品も何もかんも無さすぎて話にならん」
既に決定事項のようだが、聖は良いとも悪いとも言っていない。
もちろん今現在安心して帰れる場所の無い瑞希の為ならなんだって協力するし、宿屋扱いでも構わない。
けれどいくら姉のような認識であっても聖の性別は女である事に変わりはないのに嫌ではないのだろうか。
食生活を正すことにしたって、瑞希にそこまで自分の面倒を見る義務も無ければ道理もない。
そもそも瑞希は自ら進んで人の世話を焼くような性格じゃないはずだ。
「ちょっと待って瑞希く…」
「お前は俺が帰ってくるまでに部屋掃除しとけよ」
引き止める前に瑞希はサッサと出て行ってしまい、伸ばした手は宙を彷徨う。
えええ…となんとも言えない声が静かな部屋に響き渡る中、こうして幼馴染との同居が始まった。