女嫌いな年下のおとこのこ
瑞希に教えてもらったメニューは作り置きができるものがほとんどで、確かに切って焼くだけだったり纏めてレンジでチンして出来るような簡単なもので、料理下手な聖がどうやっても不味く出来ないほど簡単なものばかりだった。
「見て瑞希くん!もう1週間は持ちそうな量ができたよ!」
「後は惣菜でもいいからメインのタンパク質買って胃に入れときゃいい。あと、米は絶対買え」
初日の米びつが空だった衝撃をかなり根に持っているらしく、念を押された。
「それにしても、瑞希くんほんと器用だよねえ。料理研究家でも目指してるの?」
「な訳あるか。このご時世、調べりゃいくらでも出てくるだろうが」
そうだとしても、レシピが完全に頭に入っているそれだけで聖にとっては賞賛に値する。
出来上がった品をテーブルに置いて粗熱をとっている間、二人は片付けに取りかかった。
「なんか…こう言ったら失礼だけど、瑞希くんと別れちゃった人たちは可哀想だね」
「は?なんだよ急に」
瑞希の洗い終わった食器を受け取り、それを拭きあげながら聖は思った事をそのまま口に出していた。
「だってかっこ良くて仕事もできて、家事も完璧なんだよ?口は悪いけど、だらしない私なんかにも優しいし」
「一言多いわ」
「今だってほら、手が荒れやすい私のために洗い物してくれてるでしょ」
「…んでそんないらん事ばっか気付くんだキメェ」
瑞希は眉を寄せて言うが、酷い物言いの割にそれほど気を悪くした様子もなく皿洗いを続ける。