女嫌いな年下のおとこのこ


「え」


思わず声が漏れた。

いつも色とりどりでバランスよく詰められている弁当で、今日も基本的にはそれは変わらず美味しそうなのだが1箇所明らかに悪意が込められていた。

ご飯を敷き詰められた上にご丁寧に海苔で「アホ」の文字が描かれていた。

こんな手の込んだ嫌がらせをされる理由も思い当たらなければ、何に対してアホ呼ばわりされたのか見当もつかない。


「どうかしました?」
「あ、いや…」


聖を気に掛けた飛鳥が寄ってきて、必然的に聖の手元にある弁当を見る。

そしてそこに書かれた言葉も。


「…それ、白河さんの手作りですか?」
「いや、自分の弁当にこんなのしないでしょ」
「じゃあ恋人ですか?失礼ですが喧嘩とか…」
「いや、唯のルームシェアしてる子なんだけど…喧嘩…はしてないはずなんだけどなー…」


振り返ってみても全く心当たりが無い。

昨日の昼間に料理を教えて貰って以降、特に何か言われた訳でも無い。

というか、そもそも普段から瑞希は言葉が荒い上に聖も多少の暴言はスルーする事に慣れているので、怒っていても聖が気付いてないだけかもしれないが。

今朝のものすごい表情もそれが原因だったのか。



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