女嫌いな年下のおとこのこ
そしてその日も定時で仕事が片付かず会社を出たのは21時過ぎ。
自宅マンションが目に入ったとき自分の部屋を見るとまだ明かりが付いていたので、聖は全力疾走で部屋まで走り勢いよく玄関を開けた。
「瑞希くん!」
名前を呼びながらリビングに入ると、既に入浴を済ませてソファーベッドでくつろぎながら読書をする瑞希がいた。
「なんだよ煩えな。つか帰ったらまず手洗えや」
「それはごめんね!でもお弁当のあれが気になって仕方なくて」
聖は荷物を床に置くと素直にいそいそと手を洗い、ベッドの側のフローリングに座って正座した。
「私何か忘れてたかな?昨日は洗面所の水も拭きあげたし、今朝も洗濯物はちゃんと干して出たはずなんだけど」
「違う」
「じゃあ分からないよ。教えて?瑞希くん」
首を傾げながら聞く聖に、チッと舌打ちをして瑞希は持っていた本を乱暴に閉じた。
「いつまでも子供扱いしてんじゃねえよ」
「え?」
話を逸らされたのか、斜め上の台詞に拍子抜けする。
「してないけど?」
「してるわ!その諭すような顔、ガキの頃と同じなんだよ!」