女嫌いな年下のおとこのこ
ガキの頃、と言われ昔何かをやらかしては母親に叱られて不貞腐れる瑞希を諭し、謝りに行かせた記憶が頭に浮かぶ。
やんちゃを絵に描いたような少年だった瑞希はよく彼の母の逆鱗に触れては何かと怒られている印象の強い子供だった。
そんな息子を持つからなのか、比較的聞き分けのいい少女だった聖は彼の母から可愛がられ、瑞希のことをよろしくねと都度アフターケアをお願いされる事も多かった。
いつしかそれで聖の中で瑞希のお世話をするのが当たり前になり、根っこになっていた。
「昨日のアレはなんだ、俺の全てを受け入れてくれる人に出会える?馬鹿にしてんのか!」
「えええ…」
漸く瑞希の怒りの発端が見えてきた。
要するに子供扱いされた事が気に食わなかったんだろう。
決してそんなつもりは無かったのだが、聞きようによってはそう捉えられなくもない。
聖は元々温厚な性格であまり怒りの感情は主張してこない。
しかし子供扱いこそしていないが、瑞希がどれだけ暴言を放ったところで聖には小型犬がキャンキャン吠えている様にしか見えない程に、こと瑞希に関しては聖人の域に達している。
そんな自分の態度を、瑞希は同等に見られて無いと受け取ったのだろう。