女嫌いな年下のおとこのこ
「おけーり」
「そ、れ…どうしたの…」
瑞希は右手の甲からから肘にかけて包帯で分厚く巻かれており、それは明らかに料理していて怪我をしたようなものではない。
嫌な予感に一気に血の気が引く。
手に持っていた鞄を落とし、顔を真っ青にして震えながら包帯を指差す聖に対し、瑞希は右手を少し上げてひらひら揺らしながらあっけらかんとした態度で言う。
「しくじった」
「し、しくじったって…」
「会社張られてたんだよ。仕事帰りにいきなり襲われた。…クッソあのイカレ野郎!あと骨の4、5本はヤるつもりだったのによぉ、運良く邪魔が入って俺より先に搬送されやがってこちとら不完全燃焼だわ!」
畜生!と激怒しながら自身の膝を叩く瑞希はどうやら返り討ちにして逆に相手に重傷負わせ病院送りにしたようだが、聖はわなわなと震えていた。
「いや、なんでやり返してるの!」
「はあ?あの野郎のせいでこっちは家まで追われてんだぞ、俺の労力を考えれば当然の報いだろうが」
「違うでしょ!なんで逃げないの!馬鹿じゃないの!?」
長い付き合いの中で、初めて瑞希に向かって怒鳴った。
瑞希も初めて目にする聖の姿に驚いたのか、目を丸くしていた。