女嫌いな年下のおとこのこ

瑞希

side 瑞希




白河聖という女は大雑把な性格だ。

何においてもやりっぱなしが多い。

家事で言うと洗濯は室内干しなのを良い事に干しっぱなし、乾燥機に入れっぱなし、食器もシンクに置きっぱなし、メイクをすれば道具を出しっぱなし。

それが初日の惨状に繋がっていた。


自分がきっちりした性格なのもあるが、共同生活になってからはそれが我慢できず何度か口を出したものだ。

それはそうとして、まあ家事については良い。

聖の性格については昔から変わらないし、注意すれば響いているのかは不明だが「ごめんね〜」と言いつつ片付ける。

一番の問題は、人付き合いにおいてもそれが遺憾なく発揮される事だ。

人当たりもよくお節介、それでいて顔立ちも可愛らしい聖は誰かれ構わず親切にしては見返りも求めないので好意を持たれやすい。

それには恋愛的な感情を持つ奴も当然含まれ、お決まりだが聖にそんな気は全くなく気付いてすらいない。


ーーつまり、惚れさせっぱなし。


それに気付いたのは小学校高学年の頃。

一緒に聖を揶揄っていた同級生が聖に好意を持っていた事が発覚してからだ。

家族ぐるみで仲が良く、忙しい両親に代わり聖の家族と一緒に遊びに連れて行ってもらう事もあり何かとセットにされる事が多かったせいで当然のように自分の物だと思っていた幼馴染に、そんな感情を友人が向けていた事は青天の霹靂だった。

中学の制服に身を包み少し大人びた聖は文字通り年上のお姉さんになって、色気付き始めた男共に刺激を与えたのだろう。


思えばその頃からだった。

異常に背伸びをしたがったのは。




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