女嫌いな年下のおとこのこ
「…死ぬほどダセェ…」
聖に用意されたベッドで、意味もなく布団を頭まで被った。
これほど居た堪れない気分になったのは事件後母親に明け方まで正座で説教を受けたあの時以来だ。
まあ自覚したものはどうしようもない。
やるべき事は決まっている。
ただ厄介なのは、聖が自身を完全に除外している事。
ただでさえ弟と思われてスタートラインから大きく遠のいているのにだ。
更にこれから1週間、こちらは恋心を自覚している状態でほぼずっと同じ空間にいるであろう事もまた悩みの種だ。
つい聖の頼みに負けてしまった自分が恨めしい。
腕の傷は痛むが、そこそこ性欲も持ち合わせている為、溜まるものは溜まる。
これが同性だったら良いように使うが、相手は拗らせに拗らせた初恋の相手。しかも女。
悶々としてなかなか寝付けず、短針はすでに3を指している。
寝返りを打ち、そこではたと思いつく。
もしかしたら、幾ら相手が聖といえど女である以上トラウマを引き摺ってまだ欲の目では見れないかもしれない。
同性相手の時もいざ本番を受け入れる際はそれなりに時間と覚悟を有したのだ。
きっとそうだ、そうに違いない。
そう思うと漸く眠気がやってきて意識が遠のき、短い睡眠を取る事ができた。
しかし翌朝、朝のシャワーを終えたばかりの軽装の聖とエンカウントして「あ、コレ抱けるわ」と確信してしまい、瑞希は自分の浅はかさを死ぬ程後悔する事になる。