女嫌いない年下のおとこのこ
「瑞希ってさ、超のつく女嫌いじゃん?まあだから俺と付き合ってる訳だけど」
「あれ?もしかして私マウントとられてる?」
「ははっ、バレた?」
冗談で誤魔化したけれど、一ノ瀬が自分に対して嫉妬のような感情を抱いている事はなんとなく気付いていた。
「安心してよ。幼馴染っていっても、もう十年も会ってなかったんだから。それに瑞希くんにとって私だって女である事に変わりはないよ」
瑞希は女が嫌い。ある事件をキッカケに女が近くに寄るだけでも蕁麻疹が出るほど受け付けなくなってしまったのだ。
それ以来は疎遠になっていたから、瑞希が恋愛対象を男にした事までは聖も知らなかったが、特にそういう偏見もないのですんなりと受け入れていた。
「確かに。そういえば白河も一応は女だったな」
「喧嘩売ってるなら買うよ?」
「ははっ、勝てる気しねえなぁ」
からからと笑いながら一ノ瀬は卵焼きを頬張る。バランスよく詰められた弁当は色とりどりで、瑞希の意外とマメな性格が表れているようだった。