女嫌いな年下のおとこのこ
そこでは既に瑞希も食事を終えており、テーブルの上を片付けて綺麗に拭きあげるところまでしてくれていた。
当の本人はテレビをつけてソファーに腰を下ろしている。
「珍しいね、瑞希くんがテレビ見てるの」
お互い忙しい身であるのでこれまであまり平日にテレビをつける機会は無かった。
しかも流れているのはバラエティ番組。
芸能人に全く興味のない瑞希が楽しんで観るとも思えず、ますます違和感しかない。
つい思ったそのままを口にすると、視線だけ流してきた。
「どっかの誰かさんに家事制限されてるからな。他にやる事ねぇんだよ」
「そっか。うん、今は安静第一だからね」
大人しく頼ってくれてる事が嬉しくて顔が綻ぶ。
食器を洗おうとシンク前に立つと、瑞希が視線をテレビへ戻しながら「ゴム手袋しろよ」と声をかけてきた。
「分かってるよ。ありがとう、優しいね」
聖の手荒れを気にしての言葉だろう。
お礼を言うとフンと鼻を鳴らす声だけが返ってきた。