女嫌いな年下のおとこのこ
「でも頑張り過ぎは厳禁だよ。私みたいに上から怒られるからね」
「確かに白河さん、この間総務部長から直々に呼び出し受けてましたよね」
アレは悪い例だって釘刺されましたとまさかの暴露をされ、笑顔のまま固まった。
「じゃあキリもいいので俺も帰ります。一緒に退社してもいいですか?」
「うん…モチロンダヨ」
嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な感情のままタイムカードを押して会社を出る。
駅までの道すがら飛鳥とは家が割と近かった事を思い出した。
電車も当然同じ車両に乗る事になるし、退社してまで上司と一緒は気まずくないかなと思いながらふと飛鳥を見上げると、同じように聖を見ていた彼と目が合った。
「白河さん、今日昼飯一緒になった人…一ノ瀬さん、でしたっけ。仲良いんですか?」
どうやら聞きたいことがあったらしく、目が合うや否や飛鳥がそう尋ねてきた。
「うん、まあ同期だからね」
仲は良いがそれ以上に複雑な関係なんだよ、という言葉は流石に口にできないので胸の奥に押し込んだ。
「そういえば、その一ノ瀬に絡まれてたけど大丈夫だった?」
昼食を終えて会社に戻る道中、一ノ瀬は飛鳥に寄って行き何かを話していた。
飛鳥の事を知りたそうにしていたし特に止める理由も無かったのでその時はスルーしていたが、一ノ瀬にも少しデリカシーに欠ける部分がある事は否めないので一応聞いてみる事にした。