女嫌いな年下のおとこのこ
「はい。明るくて楽しい先輩でした。…ただ、なんか変な事聞かれましたけど」
「変な事?」
「『ぶっちゃけ超美人なら男でも付き合うのはアリ?』…って…何のことですかね」
「は…はああ!?」
ぶっちゃけにも度が過ぎるだろうと聖は頭を抱えた。
初対面の後輩に何を聞いてるんだあの男は。
けれどそんな心配を他所に当の飛鳥は相変わらずクールな面持ちのまま、不思議そうに首を傾けるだけだった。
「まあ…よく分からなかったんで、そのまま『分からない』って返しましたけど」
「そうだよね!同期が本当にごめん…!」
幾ら一ノ瀬といえど些かデリカシーに欠けすぎるとは思ったが、あまりの頭の痛さに代わりに謝るしかなかった。
てっきり同僚の女性達から情報収集を命じられたのかと思いきや、その言い方はもしや男が関係しているのだろうか。
どちらにせよもっと聞き方はあっただろうし、そもそも今聞いた言動は流石に一ノ瀬らしくない。
不可解な点はあったが、彼の名誉の為にもフォローはしておいた方がいい気がした。
「あの、一ノ瀬くんは変なところあるけど仕事はできる人だから!先輩としては優秀だからあまり悪い印象は持たないであげてね」
「あ、はい。分かりました」
飛鳥が一ノ瀬にどう言った印象を持っているかは謎だが、下手に変な噂を広めるような子ではないと思っているのでそれを信じるしかない。
とりあえず来週顔を合わせたら尋問しようと心に決め、最寄駅の改札を通過する。