女嫌いな年下のおとこのこ



「でも俺、一ノ瀬さんと関わり無いのにどうして俺の事知ってたんでしょうか」


同じように改札を通った飛鳥が何気なくそう聞いてきた。


「それは飛鳥くんが目立つからじゃない?もちろんいい意味で」


言葉通りの事実を伝えてはみたものの、飛鳥はいまいちピンときていないようだった。


「飛鳥くん格好いいから。入社してからプライベートの連絡先聞かれたりしなかった?」
「ああ、まあ何人か…」


やはりと言うべきか、飛鳥と仕事で関わる女性社員は軒並み顔を赤くしているし、業務上関わる事の多い聖に羨ましいという声がかかることも少なくはなかった。

本人には言わないが、この1ヶ月足らずの間で早速牽制のような事をされた事もある。

それなのにその張本人があまりにも疎くぼんやりしているものだから、聖にもちょっとした悪戯心が沸いてきた。


「じゃあその中で気になった子とかはいなかった?」


言った後で気付いた。

相手はイケメンで若く優秀な男。

そんな彼に気になる女性が本当にいたとしたら、社内で女性社員による暴動が起きやしないか。

正直今は仕事で手一杯なので、余計な事に関わるのはできるだけ避けたい。


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