女嫌いな年下のおとこのこ


比較的車内が空いていた事もあり、聖と飛鳥は少し間を空けて座りその間どちらからも話しかける事はしなかった。

そうして先に最寄駅に着いたのは聖の方で、飛鳥に軽く挨拶をして電車を降りた。

歩いて改札を抜けると大分温くなった風が頬を撫でた。


顔を上げた先に見慣れたコンビニの看板を見つけ、すっかり頭から抜けていた夕飯の事を思い出す。

あまり食べる気にはなれないが胃は空腹をしっかりと訴えてきているので仕方なく店内に入った。

選んだのはおにぎり2つとインスタントの豚汁。
あと無性に酒の力を借りたくなったので店内で一番アルコール度数の高い日本酒を引っ掴んだ。

会計を済ませて残りの道を行こうとした時、こちらに真っ直ぐ向かってきている人物と目が合った。


「聖」


その声は今一番聞きたく無い声。

けれどそれ以上に会えた嬉しさの方が優ってしまう。


「今帰りか?」


瑞希はそう声をかけながら聖の手元にあるコンビニの袋を見て顔を顰める。


「お前…酒でメシ済まそうとしてんじゃねえよ」
「えっ、誤解だよ!ちゃんとご飯あるって!」


どうやら瑞希の角度からは日本酒のラベルしか見えていなかったらしく、中身を広げて見せると納得したように眉間の皺を伸ばした。




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