女嫌いな年下のおとこのこ
瑞希
side 瑞希
木曜の夜。
週明け以来定時に仕事を終えて部屋を出てきた聖に内心気を良くしていた瑞希は、テーブルの上で振動する聖のスマホの画面に表示された名前を見た瞬間、無意識のうちに手に力が入った。
時刻は19時を回っており、完全なプライベートの時間。
そんな時間にかけてくる電話の内容など殆ど決まったようなものだ。
このまま無視をしてしまいたい気持ちを押し殺し、キッチンでタブレットと計量スプーンを交互に睨めっこしている聖の元へ向かいスマホを差し出した。
「聖、鳴ってる」
聖は一瞬顔を硬直させたが、直ぐに「仕事」の顔に変え電話の相手と話しながらリビングを出て行った。
明らかに好いた相手にするような顔でなかった聖の様子にに内心安心したのは言うまでもなかったが、それでもどこか落ち着かない。
それもそうだ、会社からでなく個人の電話からかけてきているという事は、それなりに親交のある相手でもある事を意味する。
微かに残った良心が、時々洩れ聞こえる声を全く興味のないテレビのボリュームを上げる事で聞こえないようにさせた。
木曜の夜。
週明け以来定時に仕事を終えて部屋を出てきた聖に内心気を良くしていた瑞希は、テーブルの上で振動する聖のスマホの画面に表示された名前を見た瞬間、無意識のうちに手に力が入った。
時刻は19時を回っており、完全なプライベートの時間。
そんな時間にかけてくる電話の内容など殆ど決まったようなものだ。
このまま無視をしてしまいたい気持ちを押し殺し、キッチンでタブレットと計量スプーンを交互に睨めっこしている聖の元へ向かいスマホを差し出した。
「聖、鳴ってる」
聖は一瞬顔を硬直させたが、直ぐに「仕事」の顔に変え電話の相手と話しながらリビングを出て行った。
明らかに好いた相手にするような顔でなかった聖の様子にに内心安心したのは言うまでもなかったが、それでもどこか落ち着かない。
それもそうだ、会社からでなく個人の電話からかけてきているという事は、それなりに親交のある相手でもある事を意味する。
微かに残った良心が、時々洩れ聞こえる声を全く興味のないテレビのボリュームを上げる事で聞こえないようにさせた。