女嫌いな年下のおとこのこ
「で、頼んでたモンは」
闇取引でも行っているのかと言いたくなるような言動だが、一ノ瀬の酒癖が良くない事をよく知っているので素面の内にさっさと情報を聞き出しておきたかった。
「まあそう焦るなって。つーかさ、今から当たり前の事言うぞ」
不機嫌オーラを放つ瑞希にものともせず、一ノ瀬は続ける。
「そもそもお前、なんで飛鳥の事知ってんだ?知りたがる理由は?俺も一応あいつの上司だからそうおいそれと簡単に個人情報は流せねえよ」
「……」
「そりゃあ…さ、お前には負い目もあるし正直惚れた弱味もあるから出来る限り力になってなりたいけど」
「キモ」
「そんな殺生な…まあいいや。とにかくだ、訳もわからないまま後輩は売れない」
一ノ瀬の言う事は最もで何も間違ってはいない。
まあ当然だなと思いながら瑞希は腕を組み、背もたれに身体を預けながら横柄な態度で言った。
「俺、今聖のとこいんだよ」
「ブッ!」
最初に通された際に置いてあった水を飲んでいた一ノ瀬は盛大に吹き出し、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で瑞希を見る。