女嫌いな年下のおとこのこ



「え、は?聖って白河の事だよな……は?なんで?」
「ストーカーに家特定されてて自宅戻れなかったから、同意もぎ取って居座った。テメーの時もそうだったろ」
「あー…確かによく泊まらせろって言われてたけど…ストーカーは初耳なんだけど」
「んで先週そいつに襲われて怪我したから世話してもらってた。今週あいつリモート勤務だったろ」
「ちちちょ、ちょっと待て。情報多過ぎて追いつかない待って待って」
「フン、雑魚が」


丁度良いタイミングで店員がドリンクを運んで来たので、混乱して頭を抱える一ノ瀬を放置して瑞希は烏龍茶を半分飲み干した。


「つーか、そもそも聖にあの店教えたのテメーだろ。俺が行きつけだって知ってただろうが」
「いや、そうだけどさあ…そんなんなるとか思わないじゃん」


俺はちょっとした悪戯心で、と一ノ瀬は言い訳がましく呟く。

一ノ瀬曰く、瑞希と聖の関係に思う所があったらしくもしかしたら再会して面白い事になるかも、程度の軽い気持ちだったという。

女嫌いの瑞希から唯一口に出た聖の事を自分以上に特別な存在だったと思っていたらしい。

ただ瑞希の女嫌いは筋金入りであり、聖も瑞希からは一線引いているように見えたからここまで話が進むとは思わなかったそうだ。



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