女嫌いな年下のおとこのこ
「…瑞希、まさかお前…」
一ノ瀬は良くも悪くも勘がいい。
実際にそれが、自分達を破局へ追いやった。
「お前が思ってる通りだよ」
だから何も隠す事なくそう告げた。
一瞬沈黙が流れたが、直ぐに一ノ瀬はやっぱりなと項垂れた。
「変に拗らせてんじゃねえよもう…」
「こっちだって自覚したのはつい最近なんだよ」
不本意ながらにそう言えば頭を落としていた一ノ瀬の肩がピクリと震え、ゆっくりと顔を上げる。
「いや待てよ?じゃあお前…飛鳥の事聞いてきたのって、自分が狙ってた訳じゃないって事か」
「狙うも何も会ったことねえわ」
だから情報もってこいっつったんだろと言えば、一ノ瀬は両手で頭を押さえながら再び突っ伏した。
「うわー…俺、やっちゃったかも」
「なんだよ」
「いやあ…ははは」
「誤魔化してんじゃねえとっとと吐け」
テーブルの下で軽く脚の脛を蹴れば、一ノ瀬は痛いと文句を垂れながら言いにくそうに言葉を続けた。