女嫌いな年下のおとこのこ
「んで聖、お前は6時になったら最寄駅に来い」
感傷に浸っていると、それを打ち破るかのように瑞希がそう言ってきた。
「最寄駅って、うちの?」
「そーだよ。メシ行くっつったろ」
「あ…」
忘れられてはいなかったのだと少し安心した。
そう思って当然だろう。
その為に昨日は死にものぐるいで仕事を終わらせたのだから。
「分かったよ。因みにどこに行くの?」
「秘密」
サプライズとは珍しい。
それでも瑞希と食事に行ける事自体が嬉しいので、正直どんなところだって良かった。
そんな約束を交わして食事を終え、片付けくらいはと請け負いその間に荷物をまとめた瑞希を見送った。
1人になって急に広くなった部屋の静けさに胸の痛みはどうしても拭えなかったが、それでも後でまた会えると思うとまだマシだった。
そうしてなんとか気持ちを切り替え、夕方までどう時間を潰そうかと聖は頭を悩ませた。