女嫌いな年下のおとこのこ
その後は時折どちらからか話を振り他愛無い会話をしながら半刻ほどかけて瑞希の自宅という場所に到着した。
オートロックを抜けエレベーターで7階まで進み瑞希の部屋のドアを開けた瞬間、いい香りが鼻をくすぐった。
「ドーゾお上がりください」
棒読みの瑞希に促され、パンプスを脱いで用意されていたスリッパを履きリビングまで進むと、テーブルに並べられた料理の数々に目を見張った。
勿論感動もしたが、それより驚きが優ってしまった。
「これ…全部瑞希くんが作ったの?」
彼が言っていたバターチキンカレーのほか、カプレーゼにポテトサラダ、グラタンに果てはローストビーフまで並べられている。
「まーな」
「凄すぎない…?絶対大変だったよね」
「そうでもねえよ」
言いながら瑞希はキャップを外してラックにかけ、エプロンを身につけるとグラタンを仕上げると言ってそれをオーブンに入れた。
絶対ウソだと思いながらも言われるがままに椅子に座り、ただただ目の前の豪勢な料理に目を落とす。
そして間も無くして「ほらよ」と出されたバターチキンカレーはサフランライスに盛り付けられており、これがまた完璧で綺麗な黄金色をしていて輝いて見えた。