女嫌いな年下のおとこのこ
「わあ…」
きっと子供のように目を輝かせていたのだろう、思わず感嘆の声が漏れそれを聞いた瑞希がニヤリと笑った。
「腹はち切れるまで食え」
「うん、ありがとう!」
お言葉に甘えていただきますと言って一口食べれば、大好きな味が広がった。
美味しいと感激のあまり涙ながらに言えば、瑞希が得意げな顔をした。
そして彼の手で盛りつけられ、差し出されたポテトサラダも有り難く受け取って口に含んだ瞬間、ピタリと動きが止まった。
「…お母さんの味…」
思わず漏れ出た言葉に、瑞希が「味音痴ではないみたいだな」とサラリと言った。
「これ…さつまいも入ってるよね?すごい懐かしい味がする」
「そうだな」
「どうして同じ味がするの?」
「ンなのほば同じもん食って育ってんだからお袋の味が一緒になるのも当たり前だろ」
その言葉で昔を思い出す。
瑞希が一人で留守番ができるような歳になってからも、母は何かと彼を心配して家に呼んで夕食を共にしていた。
彼が家に来なくなってからも作り過ぎたと偽っては時折様子を見に行っていたのは知っていた。
そう思うと自分達は懐かしい味が同じになるくらい本当に長い時間を共にしてきたのだと実感する。