女嫌いな年下のおとこのこ
瑞希も正面に腰を下ろし、自身のコーヒーを一口飲むとそれを置きながらおもむろに尋ねてきた。
「で、礼は考えたかよ」
「え?これがそうじゃなかったの?」
「違うわ。いいから早よ言え」
これで十分過ぎるくらいなのだがと思うが、瑞希にとっては違うようだ。
それならば、素直に彼の言葉に甘えてみてもいいのかもしれない。
そう思い、聖は背もたれに預けていた体をゆっくりと起こした。
「じゃあ…お願い、聞いてもらっていいかな」
一つだけ、瑞希にお願いしたい事があった。
彼を好きだと自覚するより前から考えていた事だ。
「…偶にでいいから、こうしてまた会えないかな?」
「…は?」
「勿論無理にとは言わないよ!どんな形でもいいの、ゆっくり話もしてみたいけど、外で少し会うだけでもいいし…」
言っているうちに瑞希の反応を見るのが怖くなって目を逸らしていく。
流石に我儘が過ぎたかなと思うけれど、お礼と聞かれて思い浮かぶのはそれしかなかった。
最初は瑞希の様子を聞いて、楽しく過ごせているか聞けるだけで良かった。
今となっては意味合いは違ってしまったけれど、それでも瑞希の邪魔をするつもりは無い。
ただほんの少しの時間、顔を見るだけで十分なのだ。