女嫌いな年下のおとこのこ
瑞希は黙ったまま返事を返さない。
言ってしまった以上やっぱりナシとも言えずどうしたものかと頭をぐるぐるとさせていると、瑞希が静かに言葉を吐いた。
「分かった」
「え?」
ぱっと顔を上げると、怪訝そうに眉を寄せた瑞希と目が合った。
「んだよ、お前が言ったんだろ」
「いいの?」
「そうだっつってんだろ。その代わり、俺が用ある時もお前呼びつけるからな」
「う、うん!分かった!」
てっきりこのまま会えなくなってしまうと思っていたから、了承をもらえて正直舞い上がった。
瑞希に他意は無いのだろうが、それでも良かった。
元より望みは薄かったのだ、彼が頷いてくれただけで十分だった。
「で、次はいつにするんだよ」
「え、今?」
「こっちにだって予定があんだよ」
「そうだよね、ごめん。じゃあ…」
ふとスケジュールを思い浮かべ、空いている日を探し出す。
「再来週の週末はどうかな?出張行くから、お土産も渡したいし」
「出張…?」
「そう。昨日の件でどうしても向こうの本社に行かなきゃいけなくなって」
「…それ、お前1人か」
「ううん、上司と。…あ、あと多分、後輩の子も一緒に行くと思う」
「後輩?」
「うん。一昨日連絡くれた子なんだけど、自分も同行させて欲しいって。今後私の仕事を引き継いでもらう予定なんだけど、意欲的で助かるよ」