女嫌いな年下のおとこのこ
ありのままを伝えると、一瞬だけ瑞希の顔が曇った。
しかしどうしたのと尋ねる間もなく表情は戻り、いつ戻ってくるのかと聞かれた。
「予定では月曜から木曜だけど、時差も考えると金曜日の夕方にはこっちに着くかな」
「なら土曜の朝ここに来い」
「ここって…瑞希くんの家に?」
そう尋ねると、瑞希は首を縦に振った。
「時差があるって事は海外だろ。…なら白米が恋しくなるんじゃねえの」
「そうだと思うけど…」
「朝メシ、和食で用意してやるから来い」
「瑞希くんのご飯…!」
あまりに魅力的な響きに自分でも目が輝いたのが分かる。
同じように思ったのだろう、瑞希が目を細めてじとりとこちらを睨んだ。
「お前…まさかとは思うが、俺に会いたいってのはメシ目当てじゃないだろうな」
「ち、違うよ!ただ瑞希くんのご飯は特別美味しいからつい…」
「ふーーーん」
あまり信じてなさそうな物言いに少し恥ずかしくなる。
それに本当の事なんて言えるわけがない。
それでもどんな口実でも顔を見る機会がもらえただけで嬉しく、次の約束まで仕事を頑張ろうと思えるのだった。