ReTake2222回目の世界の黒田美咲という世界線
6:ヘアースタイル
「ちょっと美咲!あんたまたやったわね!?」
学校に到着して、私を見るなり花楓が言った。
「なんでプロにやってもらわないかなぁ。美咲はお嬢様なんだからお金あるでしょ?」
立て続けだ。
私は自分の髪の毛は自分で切る。実に簡単だ。肩甲骨より髪が伸びたら、後ろでまとめて一つに縛る。束ねた髪を右肩の上から前に回して先端から15センチ位のところでもう一度縛る。2度目に縛った上のところをハサミでバサっと切る。ちょこまか切ると掃除が大変なので一気に切る。切った髪は2度目に縛ったゴムで束ねられているので、ゴミ箱に入れる。ゴムは回収する。結果ワンレン。終わりである。前髪なんて必要ない。髪は髪だ。
切ってから1週間位はちょっと不自然だけど、そのあとは大体格好がつく。私が美容室に行かないのは、お金の無駄、時間の無駄、知らない人に頭皮や髪を触られたくないからだ。それに知らない人が、体温を感じるくらいそばにいる時間が小一時間も続くなんて苦痛極まりない。だから自分で切る。何の問題もない。それを花楓は気に食わないらしい。いったいなんで?私にはわからない。
「将来医者になるんだから、人任せになる体験もしておきなさいよね!ちょっとくらいモテるからってその手抜きぶりにはホトホトあきれるわ!」
「診察の時はあんなに長い時間そばにいないし、オペの時は全身麻酔か部分麻酔で感覚なんて無いから関係ないじゃない」
「高1で女捨てるなんてありえないんだけど」
他の友人も笑いながらうなずいている。
「そもそもかける時間とお金に対するリターンが見合わないわ?」
「見合うのよ!キレイになって男子にチヤホヤされたいの!」
「私はそれはいらないかな」
「あ~もう!ちょっとくらいモテるからって!どうにかして世界中の男子に、このネガティブロジカルモンスターの本性を教えたい!」
「ゴロが良いわね。ネガティブロジカルモンスターって。冷血お化けよりカッコ良いし」
「あ~もう!」
「花楓もワンレンにすればいいのに。楽よ?」
「美咲のはワンレンとは言わないの!あんたどうせドライヤーも使っていないんでしょ?だからそんなボサボサなのよ」
「私の平熱って高いのよ。37度8分だから。結果少しは髪も乾きやすいし、今のところ頭皮の細菌繁殖には至っていないから。問題ないわよね?」
「あ~もう!ボサボサ女になぜ告るんだ?世の男子は!」
私が自分の席に着くと花楓が近寄ってきた。
「それはそうと美咲。今年も長水路中学生選手権にあんたはまた行くの?」
「ちょ、へ?またって何?」
「美咲君、ごまかすなごまかすな。ネタは上がってんのよ?去年一人で行ったらしいじゃないの。まさかの例の小学生狙いですか?」
「ふいぇ?な、な、なにが?もう中学生だし」
「嚙んでるし。美咲をこんな風にするのはちょっと楽しいわね。今年は私も行くから」
「いやいやいや、いいって、一人で行くから……」
「ゲロりやがりましたね?チョロ~い。絶対一緒に行くからね」
「……どこの情報筋よ?」
「教えたらこの仕事は成り立たないの。親友でも教えられないわ」
「……いつからCIAに属したのよ……」
そんな訳で、去年に続きサングラスで正体を隠し、両手で握手をしてもらう作戦が台無しになった。握手の為に1年を頑張って過ごしてきたのに。
学校に到着して、私を見るなり花楓が言った。
「なんでプロにやってもらわないかなぁ。美咲はお嬢様なんだからお金あるでしょ?」
立て続けだ。
私は自分の髪の毛は自分で切る。実に簡単だ。肩甲骨より髪が伸びたら、後ろでまとめて一つに縛る。束ねた髪を右肩の上から前に回して先端から15センチ位のところでもう一度縛る。2度目に縛った上のところをハサミでバサっと切る。ちょこまか切ると掃除が大変なので一気に切る。切った髪は2度目に縛ったゴムで束ねられているので、ゴミ箱に入れる。ゴムは回収する。結果ワンレン。終わりである。前髪なんて必要ない。髪は髪だ。
切ってから1週間位はちょっと不自然だけど、そのあとは大体格好がつく。私が美容室に行かないのは、お金の無駄、時間の無駄、知らない人に頭皮や髪を触られたくないからだ。それに知らない人が、体温を感じるくらいそばにいる時間が小一時間も続くなんて苦痛極まりない。だから自分で切る。何の問題もない。それを花楓は気に食わないらしい。いったいなんで?私にはわからない。
「将来医者になるんだから、人任せになる体験もしておきなさいよね!ちょっとくらいモテるからってその手抜きぶりにはホトホトあきれるわ!」
「診察の時はあんなに長い時間そばにいないし、オペの時は全身麻酔か部分麻酔で感覚なんて無いから関係ないじゃない」
「高1で女捨てるなんてありえないんだけど」
他の友人も笑いながらうなずいている。
「そもそもかける時間とお金に対するリターンが見合わないわ?」
「見合うのよ!キレイになって男子にチヤホヤされたいの!」
「私はそれはいらないかな」
「あ~もう!ちょっとくらいモテるからって!どうにかして世界中の男子に、このネガティブロジカルモンスターの本性を教えたい!」
「ゴロが良いわね。ネガティブロジカルモンスターって。冷血お化けよりカッコ良いし」
「あ~もう!」
「花楓もワンレンにすればいいのに。楽よ?」
「美咲のはワンレンとは言わないの!あんたどうせドライヤーも使っていないんでしょ?だからそんなボサボサなのよ」
「私の平熱って高いのよ。37度8分だから。結果少しは髪も乾きやすいし、今のところ頭皮の細菌繁殖には至っていないから。問題ないわよね?」
「あ~もう!ボサボサ女になぜ告るんだ?世の男子は!」
私が自分の席に着くと花楓が近寄ってきた。
「それはそうと美咲。今年も長水路中学生選手権にあんたはまた行くの?」
「ちょ、へ?またって何?」
「美咲君、ごまかすなごまかすな。ネタは上がってんのよ?去年一人で行ったらしいじゃないの。まさかの例の小学生狙いですか?」
「ふいぇ?な、な、なにが?もう中学生だし」
「嚙んでるし。美咲をこんな風にするのはちょっと楽しいわね。今年は私も行くから」
「いやいやいや、いいって、一人で行くから……」
「ゲロりやがりましたね?チョロ~い。絶対一緒に行くからね」
「……どこの情報筋よ?」
「教えたらこの仕事は成り立たないの。親友でも教えられないわ」
「……いつからCIAに属したのよ……」
そんな訳で、去年に続きサングラスで正体を隠し、両手で握手をしてもらう作戦が台無しになった。握手の為に1年を頑張って過ごしてきたのに。