関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
 少し、子供っぽかったかなと反省している。

 どうしてか、カディオとは馬が合わないみたいに、いつも言い合いになった。

 大人になったら少しは和解するのではないかと想像したこともあったが――無理みたいだ。

(彼は……私みたいな有能な女がお気に召さないのね)

 隣国でもそうだった。踊る相手は少ない気心許せる友人たちに限られたし、それとなく耳にした理由を聞いて、納得した。

 シェスティは一人でも大丈夫そうだし、声をかけづらいのだ、と。

 それは自国でも同じだった。なんでもこなしてしまうから相手の男のほうが気後れしてしまうのだろう、と。

 そんな中で唯一、はじめからつっかかってきて、対等にぶつかってきたのがカディオだった。

(私、子供の頃は愛想笑いもできないし、ほんと可愛くなかったものねぇ)

 大人になって反省している。

 当時、もう少し笑う努力だってしていれば友人も多かったはずだ。

 戻ってきたからには、心を入れ替えて社交するつもりではいる。
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