関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
「普段から報告はいっていたでしょ? 騒がしかったのは、三兄弟のほうよ。ティレーゼと毎回、殴っても全然効果がないあの兄妹をアローグレイ侯爵夫人に協力して集めないと、彼ら全然落ち着きがなくって」
「完璧なあの三兄弟のそんな一面、知りたくなかった……」

 何やら憧れでもあったらしい。

(ごめん、兄様)

 そんなこんなで、サロンにてようやくシェスティは降ろされた。

「シェスティ、お前がかなり暇をしているのは分かった」

 父が、改まった口調でそう言った。

「まさかお前が母の教えを守ってじっとしているとは、私の推測が外れた」
「他に何をすると思っていたのですか。帰宅したばかりで、いろいろと準備もありましたし」

 社交用に整えるのは当然である。

「うむ。その報告は受けた。だがな、その、留学するまでずっと付き合いのあった者を一人忘れていないか?」

 何やら、そわそわした感じで言われる。

「ずっと……?」

 シェスティは、うーんと考えた。
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