関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
「令嬢友達と会うタイミングは考え中なのよね。母様の茶会が入ったら、そっち優先になるし」
「違う違う、女性のほうではなくっ」
「え? 私の縁談候補の相手がもう決まったんですか? 誰ですか? 付き合いがあるとすると、王宮でよく会っていたアルノー様? それともルドウィック様?」
「そんな恐ろしいこと絶対っ、殿下の前では言うなよ!?」
なぜか兄が口を挟んできた。
「……殿下? そこでなぜカディオのことが出るんですか」
尋ねると、父が大急ぎで「うぇっほんっ」「おっほん!」とうるさい咳払いをする。シェスティも、兄と揃って一時的に耳を両手で塞いでしまった。
「久し振りなのだからと、殿下と交流を持ってはどうか?」
「カディオと? 彼のほうは嫌がると思うわよ」
いつもこうだ。シェスティは、腕を組んでむすっとする。
(どうして周りのみんなは、私と彼が仲良しみたいに接してくるのかしらね?)
留学して三年、友人からも社交シーズンのたびに手紙はもらっていたが、彼だけは音信普通のままだった。
「違う違う、女性のほうではなくっ」
「え? 私の縁談候補の相手がもう決まったんですか? 誰ですか? 付き合いがあるとすると、王宮でよく会っていたアルノー様? それともルドウィック様?」
「そんな恐ろしいこと絶対っ、殿下の前では言うなよ!?」
なぜか兄が口を挟んできた。
「……殿下? そこでなぜカディオのことが出るんですか」
尋ねると、父が大急ぎで「うぇっほんっ」「おっほん!」とうるさい咳払いをする。シェスティも、兄と揃って一時的に耳を両手で塞いでしまった。
「久し振りなのだからと、殿下と交流を持ってはどうか?」
「カディオと? 彼のほうは嫌がると思うわよ」
いつもこうだ。シェスティは、腕を組んでむすっとする。
(どうして周りのみんなは、私と彼が仲良しみたいに接してくるのかしらね?)
留学して三年、友人からも社交シーズンのたびに手紙はもらっていたが、彼だけは音信普通のままだった。