関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
手紙を書こうと思ったことはある。
今、彼がどうしているのか気になった。
でもシェスティから送るのも嫌がられそうだと思ったら、挨拶の手紙さえ送るのは断念したのだ。
だが、兄が勝手に知らせを出してしまったらしい。
再び出掛ける前、次に行く場所用に服を着替えた兄に、忙しそうに伝えられたシェスティは「ええぇ」と思った。
「もう、勝手なことをして……」
兄はすぐ出掛けて行ってしまった。
こんなのは言い逃げだ。明日か明後日に、きっとカディオから嫌がるような手紙の返事が届くはずだ。それを考えると憂鬱になる。
カディオは、礼節はきちんとしている。
両親である国王と王妃の言うことはよく聞くし、国内にいた時は、シェスティ相手にも連休に顔が合わない時には、挨拶の手紙だって律儀に出してきた。
成人を超えて忙しくしているのに、もっと時間が削られるのではないかと、シェスティは心配にもなったものだ。
「お嬢様、本でもいかがですか?」
「……ここでじっとしていろ、と言いたそうね」
「そんなことは」
と言いながら、本を数冊差し出したメイドが顔を背けていく。
今、彼がどうしているのか気になった。
でもシェスティから送るのも嫌がられそうだと思ったら、挨拶の手紙さえ送るのは断念したのだ。
だが、兄が勝手に知らせを出してしまったらしい。
再び出掛ける前、次に行く場所用に服を着替えた兄に、忙しそうに伝えられたシェスティは「ええぇ」と思った。
「もう、勝手なことをして……」
兄はすぐ出掛けて行ってしまった。
こんなのは言い逃げだ。明日か明後日に、きっとカディオから嫌がるような手紙の返事が届くはずだ。それを考えると憂鬱になる。
カディオは、礼節はきちんとしている。
両親である国王と王妃の言うことはよく聞くし、国内にいた時は、シェスティ相手にも連休に顔が合わない時には、挨拶の手紙だって律儀に出してきた。
成人を超えて忙しくしているのに、もっと時間が削られるのではないかと、シェスティは心配にもなったものだ。
「お嬢様、本でもいかがですか?」
「……ここでじっとしていろ、と言いたそうね」
「そんなことは」
と言いながら、本を数冊差し出したメイドが顔を背けていく。