関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
父も書斎で仕事だ。
母も、夫人たちの集まりから帰るのはもう少しあとだろう。
(まぁ、時間潰しにはなるわね)
今日届いた手紙もすべて返信し終えてしまったし、父に執務も手伝えるがと申し出たら、大慌てて『殿下からの返事を待ちなさいっ』と言って逃げられた。
(まったくも、すぐ王子様が返事するわけないでしょ)
父は国王の右腕として忙しくしているくせに、王子が忙しいと分かっていないのだろうか?
だが、間もなく馬の嘶きの声が窓越しに聞こえてきた。
何か緊急の知らせだろうか。シェスティがそう訝って、すっかりはまってしまっていた本が顔を上げた時だった。
唐突に、サロンに男性の使用人が駆け込んでくる。
「殿下から手紙が届きました!」
「えっ」
まさかと思って目を向けると、走って向かってくる男性の使用人が振りかざす右手には、白い封筒が――。
(返事、はや!)
そんなに時間は経っていないはずだが、と思って疑問腑が頭にいっぱい浮かぶ。
その間にも、シェスティの手元に手紙が届いてしまった。
母も、夫人たちの集まりから帰るのはもう少しあとだろう。
(まぁ、時間潰しにはなるわね)
今日届いた手紙もすべて返信し終えてしまったし、父に執務も手伝えるがと申し出たら、大慌てて『殿下からの返事を待ちなさいっ』と言って逃げられた。
(まったくも、すぐ王子様が返事するわけないでしょ)
父は国王の右腕として忙しくしているくせに、王子が忙しいと分かっていないのだろうか?
だが、間もなく馬の嘶きの声が窓越しに聞こえてきた。
何か緊急の知らせだろうか。シェスティがそう訝って、すっかりはまってしまっていた本が顔を上げた時だった。
唐突に、サロンに男性の使用人が駆け込んでくる。
「殿下から手紙が届きました!」
「えっ」
まさかと思って目を向けると、走って向かってくる男性の使用人が振りかざす右手には、白い封筒が――。
(返事、はや!)
そんなに時間は経っていないはずだが、と思って疑問腑が頭にいっぱい浮かぶ。
その間にも、シェスティの手元に手紙が届いてしまった。