関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
(子供同士だから仲良くなれる? そんなの、なれるはずないわ)

 そう、シェスティは当初から思っていた。

 六歳も年齢が離れているというのも事実だが、将来この国を担っていく第一王子が、自分より子供っぽかったのも原因だ。

「あの狼め……今度こそ尻尾の毛をむしってやるわ……」

 帰宅するなりぶつぶつ言ったシェスティに、侍女が「やめてくださいね!?」と何度叫んだか分からない。

『有能さを競っている』

 そんな噂が出たが、父たちは接点を持たせたかったのか『仲良くさせよう作戦』が続行だったようで、シェスティはよく父の仕事で王宮へと連れて行かれた。

 そうすると、嫌でも接点が増える。

 カディオが子供っぽいのがいけないのだ。

 たとえば、何かと気に食わない様子で文句をつけてくる。
 王宮で勉強をしていると騒がしくやってきて、脈絡なく喧嘩を振ってきた。

「その年齢なのですから、落ち着きを持たれては?」

 そうシェスティが眉を顰めたら、言葉のやりとりの末、どちらが有能か競ってくることになっているのだ。
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