関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
 王宮のパーティーに行くと、婚約者でもないのにセットにされ、嫌々ながら隣にいてやっているんだとか、付き合ってやるから何が飲みたいか言えやなど、カディオが言ってくる。

 その日の日中、王宮で開かれたパーティーでもそうだった。

(ハッ、これは――幼馴染のように彼の世話を押し付けられているのでは?)

 パーティーに行ってもカディオの周りに人がいないのは、彼に友達がいないせいだ。

 それはそれで可哀そうだが、だからといって年下の女の子をいびることに時間をあてていては、問題は解決しない。彼も周りの令息たちにドン引かれることを意識するくらい、できればいいのに。

(しかも彼は、ばか正直に親の言うことを聞いているわ)

 騎士王子だと言われ、剣術の腕についても今や国外でも高く評価されている。

 シェスティに偉そうな態度を取っておきながら、実のところカディオは礼儀正しく親孝行でもあった。

 パーティーでは絶対にパートナーにするし、立食にも付き合おうとするし――。
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