関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
「ただいま戻りました」
シェスティは、三年ぶりに実家のディオラ公爵邸に入った。
今か今かと待っていたのか、玄関ホールでハッと振り返ってきた父が、大歓迎で飛びついてきた、
「おぉっ、大きくなったね! 慎重だけでなく、髪もとても伸びたみたいだ――ふぎゅっ」
「おほほ、髪は同じ長さに整えていたつもりです」
シェスティは、わざと持っていた鞄を父と自分の間に素早く置いた。
バンッという衝突音を聞いて、執事は呆れていた。
母は、顔を押さえてうめいている父を脇にどかすと、にこやかにシェスティとの再会を喜んだ。
「だいぶ性格が丸くなられたみたい……」
「それはそうですよ。シェスティが隣国に行って、我が子がいなくなってウチはどれだけ寂しかったことか」
「あれ? お兄様もまだいますよね?」
ハンカチが目元を押さえる母に首を傾げ、シェスティはその向こうを見た。遅れて顔を出した兄が、口元を引きつらせるみたいに笑っている。
「俺はいつだって空気だよ……」
シェスティは、三年ぶりに実家のディオラ公爵邸に入った。
今か今かと待っていたのか、玄関ホールでハッと振り返ってきた父が、大歓迎で飛びついてきた、
「おぉっ、大きくなったね! 慎重だけでなく、髪もとても伸びたみたいだ――ふぎゅっ」
「おほほ、髪は同じ長さに整えていたつもりです」
シェスティは、わざと持っていた鞄を父と自分の間に素早く置いた。
バンッという衝突音を聞いて、執事は呆れていた。
母は、顔を押さえてうめいている父を脇にどかすと、にこやかにシェスティとの再会を喜んだ。
「だいぶ性格が丸くなられたみたい……」
「それはそうですよ。シェスティが隣国に行って、我が子がいなくなってウチはどれだけ寂しかったことか」
「あれ? お兄様もまだいますよね?」
ハンカチが目元を押さえる母に首を傾げ、シェスティはその向こうを見た。遅れて顔を出した兄が、口元を引きつらせるみたいに笑っている。
「俺はいつだって空気だよ……」