初めてはマカロンより甘くして


だけど、それはほんの一瞬で。



──────ギュッ



と、再び壮介の腕の中に閉じ込められたかと思えば。



「............み、ゆ、ちゃん、僕の、彼女は、みゆがいい」



途切れ途切れの声のなかに、
たった1つ聞こえた〝みゆ〟の言葉。



「ふふっ。壮介、初めてちゃんと呼べたね」



小さい頃から何度も呼ばれてきた名前なのに。



壮介の腕の中で、
ハッキリ聞こえたその声は、私よ喜ばせるには充分で。



「............ぼっ、僕はみ、ゆ、ちゃん、が好きだから、」



何度名前をちゃんと呼ばれなくたっていい。



壮介のそれすら愛おしくて、好きだと思った。


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