浅黄色の恋物語
 離婚原因に「性格の不一致」なる項目が挙げられている。
夫婦なんて元は他人だし一緒になっても他人なんだから性格が一致することは無いと思う。
 「他に離婚理由が無いんだからしょうがないけどこれにするべ。」って感じで盛り込まれたような気がしてならない。
 もしも性格が一致する夫婦が居たら会ってみたい。 どんな夫婦なんだろうね?
 パズルじゃないんだから性格が一致することなんて無いのにさあ。

 以前連れ添った妻はb型だった。
ぼくはA型でそれこそ正反対だよね。
それがさあ、結婚したとたんに同じ性格になるって不自然だよ。
 顔も声も身長も体重も体つきもみんな違うんだ。
 その中で良いところ、共感できるところを探していけばいい。

 以前、働いていた治療院でマッサージをしていたおばあちゃんとこんな話をしたことが有る。
そのおばあちゃんは息子の嫁さんに強烈な不満を持っていた。
「ああすればこう言う。 こうすればああする。」
おばあちゃんの文句は留まるところを知らなかった。
 そこでぼくはこういう話をしたんだ。
 「長いこと一緒に居ると互いに欠点ばかりが見えてくるんだよ。
お嫁さんにだって孫にだって良い所は一つは必ず有るもんだ。」
 「そうは言うけどみんなして私を馬鹿にしてるんだよ。」
「それは分かるけどさ、人間 誰だって長所が有れば短所も有るもんだ。
気付かないうちに短所ばかりに目が行ってるんじゃないのかい?」
 「でも、、、。」
「だからさ、食事を作ってくれたら最初は形だけでもありがとうって言おうよ。 よく作ってくれたねって。
 それを何度か繰り返してるうちに心からお礼を言えるようになる。
そしたら少しずつお嫁さんだって変わってくるよ。」

 俗に言う「良いとこ探し」をするんだ。
悪い所は探さなくても見えてしまうからすぐに文句を言いたくなるんだよ。
 でもさ、それを言ってしまったら何も変わらない。
ただただ相手を攻め続け凹ませてしまうことになる。
ぼくもそれで失敗してるんだ。

 人間ってやってることを認めてもらえたら嬉しくなるんだよね。
褒められてるうちに「もっとやろう」って気になってくる。
そしたらそれまで見えなかった長所だってどんどん見えてくるから不思議だよ。
そうやって家族を作っていくんだ。
それはもちろん地域にも言えることかもしれないね。
今はさ、「何か変なのが居る。」ってことから他人探しを始めるだろう?
だから地域の繋がりが壊れていくんだ。
 町内会なんて高齢者しか居ないだろう? 何故だと思う?
他人を静かに排除してきたからさ。
「何をしてるか分からない。」 「どんな人か分からない。」
そう言って他人を排除してきたんだ。 だから地域ユニットは完全に崩れ去ってしまった。
 地域が盛り上がらないのも不審者が増えたのも人口が減ったのも全て原因はここに在る。
団地なんかに入ると特にひどいよね。 新入りには文句しか言ってこない。
それじゃあダメなんだよ。
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