浅黄色の恋物語
 「こんにちはーーーーーー。」 ドライバーと一緒に元気だけは良く施設に入る。
それからあちらこちらと部屋を回って話したい人とは話しながらマッサージをする。
 もちろん、みんながみんな話すわけじゃないよ。 話さない人だって居る。
仕事が終わるとお礼を言って施設を出る。 もう秋も終わり。
白衣は半袖だからねえ、めっちゃと寒い。
 車に飛び乗ると暖房の中で蹲る猫みたいにおとなしくする。
移動中はジャンバーも着てるんだけど仕事中は邪魔になるから脱いでるんだよ。
薄いジャンバーの時はいいけど、もうすぐダウンジャケットの季節になるからね、そうなると大変。
 脱いだり着たり大変だよ まったく。

 仕事が終わると家に帰ってきてのんびりさせてもらう。 疲れるからさあ。
マッサージってね、ただ揉んでればいいって仕事じゃないんだ。
どの筋肉がどういう状態になってるのか、どれくらい固くなってるのか、動きはどうか、、、。
それを瞬時に判断してどうやるのか決めなきゃいけない。 特に高齢者の場合はね。
 負担になるようなマッサージは絶対にダメ。 後で必ず文句を言われる。
物足りなくてもそうだね。
 痛くても気持ち悪くてもダメなんだよ マッサージは。

 それを考えると現在のマッサージ師は赤点が多いねえ。
物知りで自慢する人は多いけど何も出来ないじゃない。
 業者も業者で何も出来なくても揉めればいいって思ってる。
だから低空飛行のマッサージ師が増えるんだよ。 やばい時代だよねえ。
 ぼくは30年掛けて磨きに磨いてきた。 一人で苦しんできたよ。
それだけの自信は有る。 どんな人でも任せてもらえるよ。
そう言い切れるようになった。 やっとね。
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