浅黄色の恋物語
 2016年9月に離婚して以来、ぼくはずっと一人で生きてきた。 寂しくなることも有ったけど。
それでなのか、プラレールやトミカを集め始めたんだよね。 最初はそれだけで終わる予定だった。
 ところがリカちゃんを試しに買ってみたら思いのほか嵌ってしまって50人を越えるまでになった。
何と言うのだろう? やはり妻が居ない寂しさなのかも。
 子供の頃から独りぼっちには慣れているはずなんだけど、50を過ぎるとごまかしてばかりも居られないのかもね。

 そんなこんなで訪問マッサージの仕事に飛び込んで10年。 いろんな人が居た。
ドライバーも様々だったし、同業のマッサージ師も様々だった。
 事業者も様々だったなあ。 忙しい事業者は本当に忙しかった。
雰囲気の良くない事業者も多かった。 苦しんだことも有るよ。
 相手にするのはいつでも何処でも高齢者ばかり。 いろんな人が居る。
フレンドリーな人、我儘な人、静かな人、うるさい人、、、。
 そうだよなあ、ぼくらは客商売でもあるんだし、その上で医療に携わっているわけだし身分的には複雑な思いが有る。
ドライバーや事業主は患者さんを【お客さん】と呼ぶ。 ぼくは内心でいつも反発してきた。
 ぼくらから見れば患者さんなんだもん。 仕方がないよ。
それでも社長さんたちは何とも思わずに仕事を拾ってくる。 たまには(この人は難しいぞ。)って思う人でもね。
 だけどそれでクレームを付けられたら「お前は何をやってるんだ!」ってぼくらが怒鳴られる。 割に合わないお説教にはうんざりだよ。
 (あんたがぼくらを無視して拾ってきたんだろうがよ。 ぼくらに言わないでくれ。)ってね。
 ある町で訪問マッサージをしていた頃、患者さんが大根やらジャガイモやらを山とくれたことが有る。
ぼくも社長も食べ切れなくてねえ、あれは困ったよ。 でもさ捨てるわけにはいかない。
 ダンボールいっぱいのジャガイモをなんとか食べたのはいいけど、その後でイモを見るのが嫌になってしまった。
農家が多かったんだよね。 面白かった。
 もっと仕事を増やせればその町にずっと居たんだけどなあ。
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